谷崎潤一郎『鮫人』を読む
この小説のモデルは辻潤ということで谷崎潤一郎の『鮫人』を読む。しかし、読み進んでみると、主人公の服部が、零落したのちの食欲に触れる表現、服部の外貌の表現などは、少なくとも、辻潤のエッセイを読んだ感想から来る辻潤の印象とは、随分異なるようにも思える。
この貪欲な食欲の描写は、谷崎自身のものではないだろうか。
谷崎と辻は交遊があったようだが、ともに下町の生まれで、気質にも共通項はあったであろう。谷崎の生まれた人形町と辻の生まれた浅草や蔵前とは近い。 『鮫人』そのものは、「浅草」趣味や中国趣味に溢れている。
浅草の部分は、川端康成の浅草ものと共通する趣味であろう。
辻本人が、『鮫人』のモデルと言っているが、どうも別人ではないか。谷崎自身が言っているわけでもないので。
谷崎潤一郎全集(新書版)の伊藤整の解説は、モデルは「坂本紅蓮洞」と言っているが、これも調査が必要だが、結構時代が経ってしまった。
伊藤整は、梧洞については「上山草人」という説であるが、これも『上山草人のこと』という谷崎の文章を読んでみる必要がある。
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