2009年4月 1日 (水)

佐々木三味著『茶盌の心得』

 作陶の必要から茶碗の約束事を知りたいと思いあれこれ参考文献を漁っていたが、これだと感じる本がなかった。

 今回、奈良に仏像研究のために遊んで、夕方奈良町のアーケードを散歩していると、中程の2階に古書店がある。

 そこに佐々木三味著『茶盌の心得』がぼろぼろで置いてある。佐々木三味については、なにか川喜田半泥子の随筆のなかに出てきたような気がしたので、手にとって見る。

 なにかぴったり来るものを感じて、早速購入した。

 ホテルに帰って読み始め5日後の新幹線の中でほぼ読了。

 茶道の実技に疎いものにもよく分かる本であった。この本が戦前に書かれているにもかかわらず、これほどわかり易い本はないと思う。

 

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2009年3月24日 (火)

漫言録 その1 茶の湯

 日本の文化を論じるときに、茶の湯は必ずあげられるが、茶の湯は日本のものだけで出来上がったものではない。

 その構成要素のほとんどが、他の文化から影響を受けている。

 その出発は、唐物といわれるように中国であり、茶陶の釉薬はペルシャに至るものがあり、カトリックのミサの影響を受けたともいあわれている。

 他文化を選択的に受容して独自の文化をつくるが、普遍性をもつこともなく、他に影響を与えることもない独特の文化という観点を最近は持つようになった。

 他からは影響を受けるが、他に影響を与えることがない故に独特の文化となるのが日本の文化ではないか。

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2009年3月12日 (木)

仏像見学雑記 その1

 日本美術の通史を半年かけて勉強した結果、日本の仏像に関する知識が全く欠落していることが分かった。よく寺社には行くのだが、神社の場合は、狛犬で、寺の場合は障壁画と探墓で満足してしまう。どうも、絵画が好きで仏像や彫刻はパスしていた。

 今回は、決定的に欠落していることを痛感したので、あらためて勉強することにした。

 たまたま、郷土博物館で仏像関係の講座が開催されることになったので、応募、運良く参加できることとなった。

 第1回は浜名徳順師の仏像の見方に関する講義。レベルは高いが、わかり易い講義。地域を限定して様式の変化と像主の勢力範囲の関連させる展開は非常に面白かった。

 第2回目は、川本雅史氏の仏像修復の話。知られざる世界の話で興味深かった。とにもかくにも、根気と正しい見識のいる仕事である。

 第3回目は、バスで東上総の寺寺を巡り、現地で仏像を拝観しながらの浜名師の解説で、非常に勉強になった。とにかく、仏像研究の入口は示唆されたような気がする。

 

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2009年2月25日 (水)

「加藤唐九郎・重髙・高宏 ―窯ぐれ三代」展へ行く

 『菊池寛実記念 智美術館』は初めて行く。以前は良く行った大倉集古館の斜め向いにある。

 狙いは加藤唐九郎の作品拝見。案外、加藤唐九郎の作品の展示はない。国立近代美術館にも展示されていなかった。茶陶の宿命か。

 今回は、加藤唐九郎の茶碗がどんなものかを見に行ったが、堂々たるものであったが、意外とおとなしいような気もした。

 収穫は加藤唐九郎の言う『背勢』がなんとなく理解できたこと。

 茶碗以外では、『絵唐津水差 銘 群鳥』(1943年)が良かった。骨格がしっかりしていて、びくともしない。細かいことは気にせずゆったりしている。絵も細部を気にせず描いてある。釉薬もやや厚めで温かみがある。

 あとは『織部異形皿』(1968年)が面白かった。遊び心がちょっと楽しいがちょっと緊張の伝わるような気もする。

 加藤唐九郎も『古典』になってきたかな。

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2009年2月11日 (水)

写楽『三世大谷鬼次の奴江戸兵衛』

 千葉市美術館の『新収蔵作品展』に行く。

 お目当ては写楽の『三世大谷鬼次の奴江戸兵衛』。東京国立博物館の所蔵品は重文。

 見れば見るほど手のあり方など不自然だが、画全体がもともと不自然でそこが魅力だから仕方がない。

 この画には、三世大谷鬼次という役者の個性と奴江戸兵衛という役柄が上半身だけで表現されているわけだ。

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2009年2月 5日 (木)

『妙心寺展』に行く

 東京国立博物館の『妙心寺展』へ行く。

 妙心寺は結構行っているほうだが、大徳寺と同じように全体の宝物館、美術館がないため、しっかりと寺の美術品を見たことがない。まあ、塔頭の判断に任されているのであろう。禅宗寺院の成り立ちを考えれば当然かもしれない。

 その点を考えると、今回の企画はうれしいものがある。もっとも大寺院や宗派とタイアップした動員目当ての企画はあまり好きではないが。

 ただ、この『妙心寺展』は、日本美術史には欠かせない作品が出るので、期待して出かけた。ちょっと、前期、後期2回に分けてあるのが難点だが。

 中世水墨画では2点が気になった。

 狩野元信筆『瀟湘八景図 』 は安定的な構図である。比較的情緒の安定した人であったのではないか。また光の処理が素晴らしい。

 伝相阿弥筆『瀟湘八景図屏風』( 6曲1双)。この人が描いた世界は、遊んでみたい。

 近世障屏画では、 まず長谷川等伯筆『枯木猿猴図』 。この画をこんな近くで鑑賞できると感激である。猿の毛が実に鮮やかに描かれている。

 さらには狩野山雪の『老梅図襖』(旧天祥院障壁画 17世紀 アメリカ・メトロポリタン美術館蔵)。画面に押し込められてのたうち回るような老梅。しかし可愛い梅の花が咲いているのが救いか。

 最後に尊敬する正受老人の『遺偈』を見る。

 『坐死』

 末後一句

 死急難道

 言無言言

 不道不道

 正受老人が『一日暮らし』を提唱し、水上勉が実践し、本を書いた。正受老人の書は、繊細な感じがした。

 しかし、それにしても一緒に出ている白隠の画は痛快だ。佐藤康宏教授の言うところの絵画の反則技が面白い。

 海北友松の画は後期ということなのでまた観にいくことになろう。

 

 

 

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2009年2月 3日 (火)

『藤田喬平展』に行く

 千葉県立美術館の『藤田喬平展』に行く。ガラス工芸の展覧会ははじめて。非常な華麗さを感じる。

 ガラスとは身近なものを感じる。友人、知人の仕事や実家が理研硝子工業であったり、建築特殊硝子であったり、家庭用硝子であったりする。

 クリスタルのワイングラスもいくつ割ったり、割られたりしたかわからない。ヴェネチアの硝子工場見学も懐かしい思い出だ。

 しかし、ガラスと箱の繋がりを考えたこともなかった。さらには琳派との結びつきなど想像もできなかった。

 『飾筥』は、実用を超越した美への挑戦である。さらに素晴らしいのは、ガラスでなんとか風を表現しようとしているところにある。

 『風』(1984)『風・神』(1990)『迎い風』『追う風』(1991)

 その志は豊かだ。

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2009年1月27日 (火)

『ファイヤアーベント自伝 哲学、女、唄、そして・・・・』を読む

 『シュレディンガーの哲学する猫』読んで、ファイヤアーベントを知り、早速『自伝』を読む。

 あまり、自伝というのは読まない方だが、日経新聞の『私の履歴書』はたまに真剣に読んでいる。

 あれに比べてたら、本当に赤裸々に自分の気持ちを率直に述べた自叙伝で、面白い。当方は、ファイヤアーベントの哲学がわからないので、十分言いたいところが読み取れないのが残念だが、それにしても、幼少の部分や女性との付き合いの話は、面白い。

 こども頃から、定年退職にあこがれ、本当の定年になってしまい、過去の仕事を忘れてしまったというところや、経済的な側面での率直な発言なども楽しいし、死に至る過程は泣かせられた。

 それにしても副題があまりよくないな。原題『Killing TIme』は、『暇つぶし』ということですかね。徒然草に通じる大人の題だな。

 

 

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2009年1月26日 (月)

『シュレディンガーの哲学する猫』

 『シュレディンガーの哲学する猫』(竹内薫+SANAMI著 徳間書店)という本を読む。

 そもそも「シュレディンガーの猫」というものが、よくわからないのだが、本を読んでもその辺の解説はない。ということは、「シュレディンガーの猫」というのは世間の常識ということかな。

 それに狂言回しみたいな部分に、楽屋落ちみたいな話があるので、そこもわかりにくい。

 それはさておき、この本を読んで目からうろこのことが多かった。

 其の一 ファイヤーベントという人を知ったこと。これは価値があった。彼の濫読の奨めも、楽しい。そこで、かれの『自伝』を読書中。

 これまた、痛快。

 其の二 小林秀雄の見方がちょっと変わったのと、『小林秀雄とベルグソン』という本を紹介してもらったこと。

 これから読んでみたいと考えている。

 哲学者紹介の部分なんか従来にはない良い本なんだが、なんだかつなぎの部分が当方には困惑するような人物や猫が出て来て、身内の話みたいような気がする。通の人にはたまらいのかな。

 最後に大森荘蔵が登場するのは良かった。しかし「略画」ばっかしの当方はどうなるの。

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2009年1月15日 (木)

石川文洋『四国八十八ヶ所』を読む

この本を読んだ理由は、お遍路さんに関心があったわけではなく、筆者が心筋梗塞に倒れても、それにめげずに、四国八十八ヶ所を完結させたところ。

 すぐにリハビリを始めた点が凄い。

 1日4キロの歩行。1600キロカロリーの摂取というのも感心した。

 みずから課題を設定して、効率よく達成しようとする人は、心臓病になり易いとも言われているが、また病気になるとキチンと対応するとも言われている。

 遍路の結果、44%の機能が62%になったことも驚きである。

 「壊死した心筋は治らないが、休んでいたほかの筋肉が働いているようです。」と述べているが、将来はヨーロッパ縦断徒歩の旅をしたいというのも、実現を期待したい。

 

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